【薬剤師監修】更年期の漢方3選の違いを比較|加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸はどう選ぶ?

更年期の不調に使われる漢方として、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸はよく知られています。
ただし、この3つはどれも更年期に使われる一方で、向いている症状や体質は同じではありません。

イライラや不安が強い人に向くものもあれば、
冷えやむくみがつらい人に向くもの、
のぼせやほてりが目立つ人に向くものもあります。

そのため、
「更年期だからこれ」
と一括りにして選ぶのではなく、自分の症状の出方に合った処方を選ぶことが大切です。

この記事では、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の違いを、症状、体質、構成生薬の観点からわかりやすく解説します。
市販で選びやすい商品例や、病院を受診したほうがよいケースもまとめているので、更年期の漢方選びで迷っている方はぜひ参考にしてください。

目次

この記事でわかること

  • 加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の違い
  • 症状別の選び方
  • 構成生薬の違い
  • 市販で選びやすい商品例
  • 受診したほうがよいケース

更年期の漢方3選を先に比較

更年期でよく比較される3処方は、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸です。
大まかに言うと、イライラや不安が強い人は加味逍遙散、冷えやむくみが強い人は当帰芍薬散、のぼせやほてりが強い人は桂枝茯苓丸が候補になりやすいです。

比較表|どれを選ぶ?

処方名向きやすい症状体質の目安主な構成生薬市販で選びやすい商品例
加味逍遙散イライラ、不安、不眠、肩こり、のぼせ体力中等度以下、気分の波が出やすい柴胡、芍薬、当帰、茯苓、蒼朮、山梔子、牡丹皮、甘草、生姜、薄荷「クラシエ」漢方加味逍遙散料エキス錠、ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒
当帰芍薬散冷え、むくみ、めまい、だるさ、貧血っぽさやせ気味、体力があまりない、冷えやすい当帰、川芎、芍薬、茯苓、沢瀉、蒼朮ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒
桂枝茯苓丸のぼせ、ほてり、肩こり、頭痛、顔は熱いのに足は冷える比較的体力がある、赤ら顔ぎみ、巡りの悪さが気になる桂皮、芍薬、桃仁、茯苓、牡丹皮ツムラ漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒A

※市販薬は同じ処方名でも剤形や飲みやすさが違うため、顆粒が苦手なら錠剤タイプを選ぶのも方法です。ツムラは顆粒、クラシエには加味逍遙散の錠剤製品があります。

更年期で漢方を選ぶときの基本

更年期の不調は、単純に「ほてりだからこれ」と決めにくいことがあります。
たとえば同じ更年期でも、イライラが中心の人と、冷えやむくみが中心の人では、合いやすい処方が変わるからです。漢方では、症状の名前だけでなく、その人の体質や不調の出方まで見て選びます。

とくに更年期は、ホルモンバランスの変化に加えて、睡眠不足やストレスも重なりやすい時期です。
症状が強い場合や長引く場合は、市販薬だけで抱え込まず、婦人科で相談することも大切です。ホットフラッシュなどの血管運動神経症状では、医療機関でホルモン補充療法が検討されることもあります。

加味逍遙散とは?イライラ・不安が強い人向け

加味逍遙散は、イライラしやすい、不安感がある、眠りが浅い、疲れやすい、肩こりがつらいといった、更年期の心と体のゆらぎに使われる代表的な漢方です。
女性の不定愁訴に用いられる代表処方の1つで、更年期の不調にもよく使われます。

加味逍遙散の構成生薬

加味逍遙散は、柴胡、芍薬、当帰、茯苓、蒼朮、山梔子、牡丹皮、甘草、生姜、薄荷の10種類で構成されます。

この処方は、

  • 気分の高ぶりやゆらぎ
  • のぼせ感
  • 肩こり
  • 不眠感
    が一緒に出るタイプに向きやすいのが特徴です。とくに山梔子と牡丹皮が入ることで、いら立ちや熱感をともなうタイプに使いやすい処方として知られます。

加味逍遙散が向く人

  • イライラしやすい
  • なんとなく不安になる
  • 眠りが浅い
  • 怒りっぽくなった
  • 肩こりがある
  • のぼせ感もある

「更年期でまず気持ちの波がつらい」という方は、加味逍遙散が候補になりやすいです。

商品例

  • 「クラシエ」漢方加味逍遙散料エキス錠
    錠剤タイプなので、顆粒が苦手な方でも選びやすい製品です。更年期障害や血の道症などに使われる第2類医薬品です。
  • ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒
    顆粒タイプで、女性のホルモンバランスの乱れによるイライラや不眠、冷え症などに用いられます。

注意点

加味逍遙散には甘草が含まれます。
甘草を含む漢方を複数併用すると、偽アルドステロン症などの副作用リスクに注意が必要です。むくみ、だるさ、血圧上昇、筋力低下などが気になる場合は使用を中止して相談しましょう。

※偽アルドステロン症とは、体の中に塩分と水がたまりやすくなり、むくみや血圧上昇、低カリウム血症などが起こる副作用です。
名前に「アルドステロン」とありますが、実際にそのホルモンが増えているとは限らず、アルドステロンが増えたときに似た状態になるため、この名前が使われています。

当帰芍薬散とは?冷え・むくみ・めまいがある人向け

当帰芍薬散は、冷えやすい、むくみやすい、めまいがする、疲れやすい、貧血っぽいという方に向いている代表的な漢方です。
更年期でも、のぼせ中心ではなく、冷えと水分の巡りの悪さが前に出るタイプに使われます。

当帰芍薬散の構成生薬

当帰芍薬散は、当帰、川芎、芍薬、茯苓、沢瀉、蒼朮の6種類で構成されます。

この処方は、

  • 当帰、川芎、芍薬で血の不足感を補う方向
  • 茯苓、沢瀉、蒼朮で水分の偏りを整える方向
    という組み合わせが特徴です。
    一般向けに言えば、冷えやすく、むくみやすく、疲れやすい人向けと考えるとわかりやすいです。

当帰芍薬散が向く人

  • 手足が冷える
  • むくみやすい
  • めまいや立ちくらみがある
  • 疲れやすい
  • 体力が落ちている感じがする
  • ほてりより冷えがつらい

「更年期の不調はあるけれど、まず冷えとだるさがつらい」という方に向きやすいです。

商品例

  • ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒
    生理不順、めまい、頭重などの症状に用いられ、手足が冷えやすい方、貧血ぎみの方、疲れやすい方に適した処方として案内されています。

冷えが強い方は、
下記の記事もあわせて読むと、自分のタイプを整理しやすいです。

桂枝茯苓丸とは?のぼせ・ほてり・肩こりがある人向け

桂枝茯苓丸は、のぼせやすい、顔がほてる、足は冷える、肩こりが強い、頭痛が出やすいといったタイプで使われる代表的な漢方です。
比較的体力があり、巡りの悪さが目立つタイプに使われます。

桂枝茯苓丸の構成生薬

桂枝茯苓丸は、桂皮、芍薬、桃仁、茯苓、牡丹皮の5種類で構成されます。

この処方は、いわゆる瘀血の改善を意識した代表処方として知られます。
一般向けには、のぼせるのに足元は冷える、肩こりや頭痛をくり返す、巡りが悪い感じがするというタイプに向いています。

桂枝茯苓丸が向く人

  • 顔がのぼせやすい
  • ほてりがある
  • 足元は冷える
  • 肩こりや頭痛がつらい
  • 比較的体力がある
  • 赤ら顔ぎみ

更年期で「イライラよりも、ほてりと巡りの悪さがつらい」という方に向きやすいです。

商品例

  • ツムラ漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒A
    のぼせやすい方、顔はほてるけれど足は冷える方に適した処方として案内されています。肩こりや生理痛、しみにも用いられます。

注意点

桂枝茯苓丸は、比較的体力がある方向けとされます。
そのため、冷えが強くて体力が落ちている方には合いにくいことがあります。そうした方は、当帰芍薬散のほうが候補になりやすいです。

肩こりや頭痛がつらい方は、下記の記事もチェックしてみてください。

市販で選ぶならどれ?おすすめ商品つき比較表

市販で選ぶときは、まず症状の中心をはっきりさせることが大切です。
そのうえで、顆粒が苦手なら錠剤、飲み慣れているなら顆粒、というように剤形で選ぶと続けやすくなります。

商品名処方向いている人剤形こんな人におすすめ
「クラシエ」漢方加味逍遙散料エキス錠加味逍遙散イライラ、不安、不眠、肩こりがある人錠剤顆粒が苦手で、飲みやすさを重視したい人
ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒加味逍遙散更年期のイライラ、冷え、不眠感がある人顆粒定番処方をシンプルに選びたい人
ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒当帰芍薬散冷え、むくみ、めまい、だるさがある人顆粒冷えとむくみが中心の人
ツムラ漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒A桂枝茯苓丸ほてり、のぼせ、肩こり、頭痛がある人顆粒上半身が熱く下半身が冷えるタイプの人
命の母A和漢生薬+ビタミン類の複合薬更年期の不調を広く整えたい人錠剤処方を細かく選ぶ前に総合的に考えたい人

命の母Aとの違い

命の母Aは、13種の生薬にビタミン類やカルシウムを配合した複合薬です。
一方、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸は、漢方処方そのものです。つまり、

  • 命の母A
    更年期の不調を広くとらえたい人向け
  • 3つの漢方処方
    体質や症状の出方に合わせて絞りたい人向け

と整理するとわかりやすいです。

どれを選ぶ?症状別の目安

イライラ・不安・不眠が中心なら加味逍遙散

気分の波がつらい、少しのことでイライラする、寝つきが悪い、肩こりもある。
このような場合は、加味逍遙散が候補です。

冷え・むくみ・めまいが中心なら当帰芍薬散

手足が冷える、むくむ、ふらつく、だるい。
このような場合は、当帰芍薬散が候補になります。

のぼせ・ほてり・肩こりが中心なら桂枝茯苓丸

顔が熱い、足は冷える、肩こりや頭痛をくり返す。
このような場合は、桂枝茯苓丸が候補です。

更年期症状で婦人科を受診したほうがよいケース

次のような場合は、婦人科や内科で相談しましょう。

  • 症状が強く、仕事や家事に支障がある
  • 動悸、息切れ、強いめまいがある
  • 不正出血がある
  • 気分の落ち込みが強い
  • 数週間使っても改善しない
  • 本当に更年期なのか分からない

更年期に似た症状は、貧血や甲状腺の病気、睡眠障害などでも起こります。
自己判断だけで長引かせず、必要に応じて受診することが大切です。

よくある質問

更年期の漢方はどれが一番いいですか?

一番合うものは人によって違います。
イライラや不安が強いなら加味逍遙散、冷えやむくみが強いなら当帰芍薬散、のぼせや肩こりが強いなら桂枝茯苓丸、というように症状の中心で選ぶのが基本です。

加味逍遙散と当帰芍薬散の違いは?

加味逍遙散は、イライラ・不安・不眠・肩こりが目立つ人向けです。
当帰芍薬散は、冷え・むくみ・めまい・だるさが目立つ人向けです。

桂枝茯苓丸はホットフラッシュにも使えますか?

のぼせやほてりがあり、顔は熱いのに足は冷えるようなタイプでは候補になります。
ただし、更年期のほてりが強い場合は婦人科で相談したほうがよいこともあります。

命の母Aと漢方処方はどう違いますか?

命の母Aは、13種の生薬にビタミン類やカルシウムを配合した複合薬です。
一方、加味逍遙散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸は、処方ごとに体質を見て選ぶ漢方薬です。

まとめ

更年期の漢方3選は、どれも有名ですが、向く人は同じではありません。

  • 加味逍遙散
    イライラ、不安、不眠、肩こりが気になる人向け。
  • 当帰芍薬散
    冷え、むくみ、めまい、だるさが気になる人向け。
  • 桂枝茯苓丸
    のぼせ、ほてり、肩こり、頭痛が気になる人向け。

更年期症状は人によって出方が違うため、症状名だけでなく体質まで見て選ぶことが大切です。
また、症状が強い場合や不正出血がある場合は、更年期だけでなく別の病気が隠れていることもあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。

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