夏になると「食欲がない」「体がだるい」「朝から疲れている」といった症状に悩む方が増えます。これがいわゆる“夏バテ”です。暑さによる自律神経の乱れ、発汗による栄養や水分の喪失、食欲不振からの栄養不足など、原因は多岐にわたります。
この記事では、薬剤師の視点から夏バテ対策に効果的な市販薬やドリンク、サプリメントを成分別に解説しながら紹介します。また、夏バテにありがちな症状別の対処法や、効果的な使用法、Q&A形式でよくある疑問にもお答えします。
夏バテとは?
夏バテは医学的な病名ではありませんが、主に以下のような症状を指します。
- 倦怠感(だるさ)
- 食欲不振
- 疲れが取れない
- 胃もたれ・下痢
- 頭痛・めまい
原因の一例
- 室内外の気温差で自律神経が乱れる
- 暑さによる睡眠不足
- 発汗によるビタミン・ミネラル不足
- 水分不足や脱水症状
市販薬に含まれる成分別解説
成分 | 役割・特徴 |
---|---|
ビタミンB1(フルスルチアミン) | 糖の代謝を促し、疲労回復を助ける |
ビタミンB2 | エネルギー代謝を正常に必要不可欠 |
ビタミンB6(ピリドキサール) | 免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進 |
ビタミンB12(ピリドキサール) | 血液細胞と神経細胞を健康に維持 |
タウリン | 肝機能のサポート、疲労軽減 |
ローヤルゼリー | 滋養強壮・免疫力サポート |
生薬(牛黄・人参・黄耆など) | 漢方的アプローチで体質改善 |
イノシトール | エネルギー代謝を正常にする働き |
ニコチン酸アミド | 糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠なビタミン |
夏バテにおすすめの市販薬・栄養ドリンク・サプリメント
ユンケル黄帝液(佐藤製薬)
- 成分:ローヤルゼリー・ゴオウ・人参・ビタミンB群
- 動物性生薬と植物性生薬をバランスよく、計8種類の生薬を配合
リポビタンD(大正製薬)
- 成分:タウリン・ビタミンB1/B2/B6・イノシトール・ニコチン酸アミド
- だるさ・疲れに効果的。価格も手頃。
チオビタドリンク(大鵬薬品)
- 成分:タウリン・ビタミンB1/B2/B6・イノシトール・ニコチン酸アミド
- リポビタンDと同様にだるさ・疲れに効果的。価格も手頃。
エスカップ(久光製薬)
- 成分:タウリン・ビタミンB1/B2/B6・ニコチン酸アミド
- 軽めの疲れ、日中のだるさに。
アリナミンEXプラス(アリナミン製薬)
- 成分:フルスルチアミン(活性型ビタミンB1)・ビタミンB6/B12
- 独自開発の活性型ビタミンB1。ビタミンB12も含有しており神経疲労・筋肉疲労に。目の疲れや肩こりにも。
オロナミンCドリンク(大塚製薬)
- 成分:ビタミンC・ビタミンB2/B6・ナイアシン
- 疲労感を感じる前の予防に。味も飲みやすい。
リゲイントリプルフォース(第一三共ヘルスケア)
- 成分:リバオール・ビオタミン(ビタミンB1誘導体)・パンテチン
- 体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善に効果的。加齢に伴う体の衰えに着目したサプリ
ツムラ漢方 補中益気湯
- 成分:黄耆、人参、蒼朮、当帰などの漢方生薬
- 虚弱体質、慢性疲労、食欲不振に効く漢方薬。
クラシエ漢方 十全大補湯
- 成分:人参、芍薬、地黄などの10種の生薬
- 全身のだるさや慢性疲労に。高齢者や回復期にも。
市販薬・栄養ドリンク・サプリメント使用のポイント
- 栄養ドリンクは空腹時を避けて飲むと胃にやさしい
- サプリは一定期間継続することが重要
- 薬と併用する場合は、成分の重複に注意
朝食・食事内容のポイントで夏バテを防ぐ
夏バテの予防と回復には、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。特に朝食は1日のエネルギーを補うために重要です。
朝食で意識したい栄養素
- たんぱく質(例:卵、納豆、ヨーグルト)…筋肉や体力維持に欠かせません
- ビタミンB群(例:豚肉、玄米、バナナ)…疲労回復や代謝促進に効果的
- ミネラル(例:味噌汁、梅干し、海藻類)…汗で失われた塩分やミネラル補給に
- 糖質+食物繊維(例:おにぎり+野菜スープ)…エネルギーを効率的に補給しつつ、腸内環境も整える
夏バテ予防におすすめの食材
- 梅干し・レモン・酢:クエン酸が疲労物質(乳酸)の代謝をサポート
- しょうが・にんにく・ねぎ:胃腸の働きを助け、体温調整にも効果的
- 豆腐・冷やしそば・納豆:消化が良く、夏の食欲がない時にも◎
無理に重たいものを食べる必要はありませんが、「冷たすぎず、体を労る温度と栄養」に注意しましょう。
冷房・入浴習慣などの生活習慣のコツ
夏バテは、単なる高温による疲労だけでなく、冷房の効いた室内と屋外の温度差、冷たい飲食の摂りすぎによって自律神経が乱れることも原因になります。
冷房との付き合い方
- 室温は26〜28℃が目安:冷やしすぎないことが重要
- 冷風を直接体に当てない:扇風機も首・お腹は避ける
- 冷房の効いた部屋では薄手の羽織を活用:冷えによる内臓機能低下を防止
入浴で体調を整える
- ぬるめ(38〜40℃)のお湯に10〜15分浸かる
- 自律神経を整え、睡眠の質もアップ
- シャワーだけで済ませない:冷えやだるさが抜けにくくなります
- 入浴後の水分補給も忘れずに
睡眠の質を上げる工夫
- 就寝前1時間はスマホ・PCを避ける
- 冷房は28℃前後+タイマー(もしくは弱風で朝まで)
- 就寝前に常温の水をコップ一杯飲む
よくある質問(Q&A)
Q1. 夏バテ対策にはどの成分が最も効果的?
A. ビタミンB群(特にB1)は代謝を高め、疲労回復に大きく寄与します。また、タウリンやローヤルゼリーも即効性があります。
Q2. サプリとドリンクのどちらを選べばよい?
A. 即効性を求めるならドリンク、体質改善や継続的な予防にはサプリがおすすめです。
Q3. 子供や高齢者でも使える?
A. 子供用のドリンクや漢方もありますが、年齢や体調に合った製品を選びましょう。高齢者は漢方(補中益気湯など)も有効。
Q4. 夏バテに漢方は効く?
A. はい、漢方は「体の中から整える」アプローチで、虚弱体質や慢性疲労に適しています。
Q5. 医師に相談するタイミングは?
A. 発熱や脱水、極度の倦怠感が続く場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
まとめ
- 夏バテ対策にはビタミンB群・タウリン・漢方などの成分が効果的
- ドリンク、錠剤、サプリなど目的別に使い分けがカギ
- 日常生活での栄養・水分補給・睡眠も重要
- Q&Aを参考に、自分に合った商品選びと対策を行いましょう
症状が重い場合や長引く場合は医師に相談してください。