胃腸炎は、急な吐き気や下痢、腹痛などを引き起こす身近な病気のひとつです。感染性胃腸炎やストレス性胃腸炎、暴飲暴食によるものなど、原因もさまざま。
本記事では、薬剤師の視点から胃腸炎の症状に応じた市販薬を紹介します。さらに、原因別の選び方や成分の違いについても丁寧に解説。ご自身の症状や体質に合った対処法を見つけてください。
目次
胃腸炎の主な症状と原因
主な症状
- 吐き気・嘔吐
- 下痢・軟便(下痢はウイルス排出の生理反応のため、安易に止めすぎないことが重要です。)
- 腹痛・胃のムカつき
- 発熱(感染性の場合)
- 食欲不振
原因
原因 | 主な特徴 |
---|---|
ウイルス性胃腸炎 | 冬に多く発生。ノロ・ロタウイルスなど。高い感染力。 |
細菌性胃腸炎 | 食中毒が主な原因。発熱・強い下痢。 |
ストレス性胃腸炎 | 精神的ストレスで胃酸過多・胃粘膜炎症が生じる。 |
暴飲暴食による胃腸炎 | 食べ過ぎ・飲み過ぎが原因で胃腸に負担がかかる。 |
薬剤師おすすめ!胃腸炎に効く市販薬【成分解説付き】
整腸剤
ウイルス性や細菌性、暴飲暴食による胃腸炎に有効
新ビオフェルミンS(大正製薬)
- 成分:ビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌
- 特徴:ヒト由来の乳酸菌のため定着しやすく、腸内環境を整え下痢や軟便を改善。小児・高齢者にも使いやすい。
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ビオスリーHi(アリナミン製薬)
- 成分:酪酸菌、ラクトミン(乳酸菌)、糖化菌
- 特徴:小腸から大腸の部位ごとに働く3つの活性菌を配合
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強ミヤリサン(ミヤリサン製薬)
- 成分:宮入菌末
- 特徴:腸内有益菌(ビフィズス菌・乳酸菌)の発育を助長し、有害細菌の発育を抑制して腸の働きを正常にします。
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エビオス整腸薬(アサヒグループ)
- 成分:ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌
- 特徴:ビタミンB1・B2・B6、アミノ酸、核酸、食物繊維等を含んだ乾燥酵母も配合
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ザ・ガードコーワ整腸錠α3+(興和)
- 成分:納豆菌末、ラクトミン(乳酸菌)、ビフィズス菌、センブリ末、沈降炭酸カルシウム
- 特徴:健胃生薬や制酸成分も配合して、腸だけでなく弱った胃にも有効
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整腸剤以外
下痢止めや胃腸薬など、胃腸炎に伴う症状に合わせて使用することで効果を発揮。ウイルス性や細菌性には効果的ではないので、整腸剤をお勧めします。
ストッパ下痢止めEX(ライオン)
- 成分:ロートエキス、タンニン酸ベルベリン
- 特徴:外出先でも使える即効型の下痢止め。ストレスやプレッシャーによる下痢にはいいが、感染性胃腸炎には注意が必要。
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太田胃散A(太田胃散)
- 成分:炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、ロートエキス
- 特徴:胃酸を中和して胃のムカつきを和らげる。胃痛や胸焼けに対応。
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ガスター10(第一三共ヘルスケア)
- 成分:ファモチジン
- 特徴:H2ブロッカー。胃酸分泌を抑えて逆流性食道炎や胃炎に効果。ストレスや暴飲暴食による胃酸過多に効果的。
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セレキノンS(田辺三菱製薬)
- 成分:トリメブチンマレイン酸塩
- 特徴:腸のぜん動運動を正常化。過敏性腸症候群やストレス性胃腸炎に。
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妊娠中・子ども・高齢者の注意点
- 妊娠中は自己判断での薬の使用を避ける。医師や薬剤師に相談を。
- 小児にはビオフェルミンなど乳酸菌整腸薬など副作用の少ないものが基本。
- 高齢者は脱水や腸閉塞のリスクを考慮して使用。
病院受診の目安
- 血便や激しい腹痛、高熱が続く
- 水分が摂れず脱水症状が見られる
- 市販薬を使用しても症状が改善しない
胃腸炎を繰り返さないために:予防のポイント
- 手洗い・うがいを徹底(特にウイルス性胃腸炎)
- 食品の加熱・保存管理を徹底
- ストレスをためすぎず、十分な睡眠を
- 発症後は十分な水分補給と安静を
まとめ:胃腸炎はタイプ別に正しく対応しよう
- 原因に応じて市販薬を選ぶのがポイント。
- 整腸剤・制酸剤・下痢止め・胃酸抑制剤など、目的別に分けて使用。
- 自己判断に不安がある場合は医療機関の受診を。
本記事はあくまで一般情報です。使用に際してはパッケージ記載の内容を確認のうえ、必要に応じて専門家へ相談しましょう。