乗り物酔い(動揺病)は、車・バス・電車・船・飛行機などの乗り物に乗った際、体の平衡感覚が乱れることにより、頭痛・吐き気・めまいなどの不快症状を引き起こす状態です。特に小児や女性に多く見られますが、大人になっても苦手な人は多いものです。
この記事では、薬剤師の立場から、乗り物酔いを防ぐ・軽減するための市販薬を成分別に詳しく紹介し、それぞれの特徴や選び方、副作用、年齢や妊娠中の注意点についても網羅的に解説します。
目次
乗り物酔いの原因と症状とは?
乗り物酔いは、乗り物に揺られることで脳の平衡感覚(前庭系・視覚・深部感覚)にズレが生じ、自律神経が乱れることによって発症します。
主な症状
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
- めまい
- あくび・眠気
- 食欲不振
誘発要因
- 空腹・満腹状態
- 緊張やストレス
- 後部座席
- 匂い(排気ガス、香水)
- 書き物・読書などの視覚的刺激
市販の乗り物酔い薬に使われる主な成分とその作用
乗り物酔いの薬は「予防薬」として出発前に服用するものが主流で、以下の成分が使われています。
スコポラミン(ブチルスコポラミン臭化物)
- 作用:副交感神経を抑制し、胃腸の運動を整え、吐き気を予防する。
- 特徴:眠気が出にくく、胃腸症状にも効果があるが、口が乾きやすくなることがある
口が乾いくことで多く水分摂取し、トイレが近くなることも。
ジフェンヒドラミン、マレイン酸フェニラミン、メクリジン、プロメタジン
- 作用:抗ヒスタミン薬。自立神経を抑制し、内耳障害や循環障害によるめまいを抑制する。
- 特徴:眠気あり。効果はしっかり。
無水カフェイン
- 作用:中枢刺激作用で眠気を軽減
- 特徴:抗ヒスタミンの眠気を抑えるために配合される
ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)
- 作用:神経の働きを整え、吐き気を抑える
薬剤師おすすめ!乗り物酔いに効く市販薬6選
【1】アネロン「ニスキャップ」
- 成分:マレイン酸フェニラミン、スコポラミン、無水カフェイン、ピリドキシン塩酸塩
- 特徴:乗る30分前に服用で効果発揮。1日1回1カプセルの服用で長時間効果が持続。
- 対象年齢:15歳以上
- 眠気:あり
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【2】トラベルミンファミリー
- 成分:メクリジン、スコポラミン
- 特徴:子ども(5歳以上)にもOK。チュアブルタイプで飲みやすい。4時間以上の間隔をおいて2回まで。
- 対象年齢:5歳以上
- 眠気:あり
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【3】トラベルミン・ジュニア
- 成分:ジフェンヒドラミン、ジプロフィリン
- 特徴:4時間以上の間隔をおいて3回まで
- 対象年齢:5歳以上
- 眠気:あり
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【4】トラベルミンR
- 成分:ジフェニドール、スコポラミン、無水カフェイン、ピリドキシン塩酸塩
- 特徴:眠気が比較的少ない。酔ってからでも効く。4時間以上の間隔をおいて2回まで。
- 対象年齢:11歳以上
- 眠気:少なめ
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【5】トラべルミン1
- 成分:メクリジン、スコポラミン
- 特徴:1日1回。
- 対象年齢:15歳以上
- 眠気:あり
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【6】センパア プチベリー
- 成分:スコポラミン、クロルフェニラミン
- 特徴:3歳から使える。4時間以上の間隔をおいて2回まで。
- 対象年齢:3歳以上
- 眠気:あり
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子どもや妊婦、高齢者の注意点
子ども
- チュアブルや液剤が服用しやすい
- 体重や年齢に合わせた用量を守る
- 眠気による転倒に注意
妊婦
- 極力薬の使用を控える
- 医師と相談のうえ、リスクの低い成分を選択
- ビタミンB6(ピリドキシン)は比較的安全とされる
高齢者
- 抗ヒスタミンによる眠気やふらつきに注意
- 服用前に医師・薬剤師に相談を
副作用と使用上の注意点
- 眠気・倦怠感が出る可能性が高い(特に抗ヒスタミン系)
- 運転前の服用は禁止(注意喚起必須)
- アルコールとの併用はNG
- 小児・高齢者への投与は慎重に
まとめ:成分と目的で最適な1錠を選ぼう
乗り物酔いは、下記確認しながら正しい薬を使うことで予防・対処が可能です。
- 対象年齢
- 服用回数
- チュアブルやドリンクなどの剤形
- 眠気の出やすさ
症状や目的、体質に合わせて、薬剤師や医師に相談しながら最適な市販薬を選んでください。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療的な診断や処方の代替にはなりません。