はじめに|薬剤師は「数字を扱わなくても仕事が回ってしまう」
薬剤師の仕事は専門性が高く、
日々の業務は「薬の知識」「患者対応」「調剤・監査」が中心です。
そのため、多くの薬剤師がこう考えがちです。
実際、現場薬剤師だけを続けていると、
- エクセルで表を作らない
- グラフを作らない
- 数値をもとに説明しない
という状態でも、仕事が成立してしまいます。
しかし――
それは「今は困らない」だけです。
薬剤師だけをやっていると起きる“静かなスキル不足”
現場薬剤師として働き続けると、次のような状態に陥りやすくなります。
- エクセルを開くのが怖い
- SUMやIF関数が分からない
- グラフの作り方が分からない
- パワポで1枚のスライドが作れない
これはその人個人の能力の問題ではありません。
「使う機会がない環境」に長くいることが原因です。
一方で、次のような場面が来た瞬間に差がつきます。
- 薬局長・管理薬剤師になった
- エリアマネージャーになった
- 本部・企業へ転職した
- 事業開発・企画職に関わった
そのとき求められるのは、薬学知識よりも先に「社会人としての基本的な数値スキル」です。
社会人として最低限「グラフ・関数」は使えるべき理由
エクセルやパワポは「事務スキル」ではありません。
意思決定のための道具です。
例えば、次の質問に答えられますか?
- 処方件数は前年比でどう変化しているか
- 新しい施策で何%改善したのか
- 他店舗と比べて自店舗は良いのか悪いのか
これらはすべて「数字」でしか説明できません。
数字が使えないと起きること
- 会議で発言できない
- 感覚論で評価される
- 意思決定に関われない
- 「現場の人」で止まる
逆に言えば、数字を扱える薬剤師になるだけで、
- 管理職適性が高まる
- 企業転職で評価される
- 発言の重みが変わる
というメリットがあります。
「使わないから覚えなくていい」は危険な考え方
多くの薬剤師がこう言います。
しかし、正しい考え方はこれです。
特に以下に当てはまる人は要注意です。
- 将来キャリアの選択肢を広げたい
- 管理職やマネジメントに興味がある
- 企業や本部に行く可能性がある
- 独立や副業を考えている
これらの場面では、エクセル・パワポは前提スキルになります。
「必要になってから覚える」では遅い。
なぜならその時は、仕事をしながら学ぶ余裕がないからです。
なぜ「数値可視化」がこれほど重要なのか
①数値は可視化しないと伝わらない
例えば、次の2つの伝え方を比べてみてください。
A:言葉だけ
「導入後、アドヒアランスが少し改善しました」
B:グラフ付き
導入前70% → 導入後80%の棒グラフを提示
どちらが説得力があるでしょうか?
ほぼ確実にBです。
なぜなら、人は数字そのものより、視覚情報で判断するからです。
②同じデータでも見せ方で評価が変わる
さらに重要なのは、同じデータでも見せ方で印象が変わるという事実です。
例えば、
- 縦軸を0スタートにすると → 改善は穏やかに見える
- 縦軸を60%スタートにすると → 改善が劇的に見える
同じ「70→80%」でも、
- 大成功に見せることもできる
- 小さな改善に見せることもできる
これがビジネスの現実です。
だからこそ、
数値を可視化できる人=発言力を持つ人
になります。
薬剤師が最低限覚えるべきエクセル関数一覧
「全部覚える」必要はありません。
これだけで実務の8割は対応可能です。
必須エクセル関数7選
① SUM(合計)
=SUM(A1:A10)
売上・件数・合計値の基本。
② AVERAGE(平均)
=AVERAGE(B1:B10)
平均単価・平均日数などに必須。
③ COUNT / COUNTA(件数)
=COUNT(A1:A10)
処方件数・患者数を数える。
④ IF(条件分岐)
=IF(A1>=80,"良好","要改善")
評価・分類に必須。
⑤ SUMIF(条件付き合計)
=SUMIF(A:A,"A薬局",B:B)
薬局別・薬剤別集計。
⑥ VLOOKUP / XLOOKUP(紐づけ)
=VLOOKUP(A2,Sheet2!A:B,2,FALSE)
マスターデータとの連携。
患者さんの紐づけ。
⑦ ピボットテーブル(最重要)
大量データを一瞬で集計。
これが使えるだけで「できる人」扱いされます。
薬剤師が最低限覚えるべきパワポ技術
パワポは「おしゃれ」より伝わることが最優先です。
最低限のパワポ5原則
① 1スライド1メッセージ
- 情報を詰め込まない
- 結論をタイトルに書く
- パワポも基本
② グラフはエクセルから貼る
- 手作りしない
- 軸・単位を必ず明記
③ 箇条書きは3点まで
- 読めないスライド=失敗
④ 色は2~3色まで
- ベース
- 強調
- 補助
⑤ フォントを統一する
- ゴシック体やメイリオ体
- 太字は結論だけ
エクセル・パワポが使える薬剤師のキャリア的メリット
このスキルがあるだけで、
- 管理薬剤師・薬局長で評価されやすい
- 本部・企業転職で即戦力
- マネジメントに関われる
- 「考える側」に回れる
ようになります。
薬剤師 × 数値スキルは、希少価値が高いのです。
まとめ|「今使わない」ではなく「いつか使う」で準備する
最後に要点をまとめます。
- 薬剤師だけをやっていると数値スキルが育たない
- グラフ・関数は社会人の基本スキル
- 使わないから不要、は危険
- 数値の可視化は評価と成果を左右する
- 最低限のエクセル・パワポは今から身につけるべき
未来の自分を助けるのは、今の小さな準備です。
今日、エクセルを一度開いてみる。
それだけで、キャリアは確実に前に進みます。
