水虫は足の指の間や足裏に起こる白癬菌(カビの一種)による皮膚感染症で、放置していると長引いたり再発しやすくなったりします。市販薬にはさまざまな成分や剤形があり、自分の症状に適したものを選ぶことで早期に改善が期待できます。
この記事では、薬剤師の視点から水虫の原因や症状別の治療法を解説し、特におすすめの市販薬を7種類紹介します。
目次
水虫とは?原因と症状を詳しく解説
原因:白癬菌(皮膚糸状菌)
水虫の主な原因は、白癬菌というカビの一種です。高温多湿な環境を好み、靴の中や銭湯・プールなどで感染します。感染すると皮膚の角質層に入り込み、かゆみや皮むけ、ジュクジュクとした症状を引き起こします。
主な症状タイプ
- 趾間型(水虫の最も一般的なタイプ)
- 指の間が白くふやけ、皮がむける
- 強いかゆみを伴うことが多い
- 小水疱型(汗かきの人に多い)
- 足の裏や側面に小さな水ぶくれができる
- かゆみ・痛みを伴う
- 角質増殖型(高齢者に多い)
- かかとなどの皮膚が厚く硬くなり、ひび割れる
- かゆみはあまりないが治りにくい
- 爪白癬(爪水虫)
- 爪が白く濁り、厚く変形する
- 放置すると他の指にも感染拡大
水虫治療の基本と市販薬の選び方
治療の基本
- 毎日継続して塗布することが重要
- 症状が治まっても1ヶ月は続ける(再発防止)
- 爪水虫は長期戦(半年〜1年)になることも
市販薬の選び方ポイント
選び方ポイント | 解説 |
---|---|
成分の種類 | 抗真菌成分の種類で効果が変わる |
剤形(クリーム・液体など) | 使用部位により使い分ける(足裏・指間・爪) |
かゆみ止めの有無 | 強いかゆみがある場合は、抗ヒスタミン成分入りがおすすめ |
速乾性・密着性 | 忙しい人には速乾タイプがおすすめ |
水虫に使われる主な成分とその効果
市販薬に使われる代表的な有効成分は以下の通りです
- テルビナフィン
- 白癬菌の細胞膜合成を阻害し、真菌を殺菌する作用があります。
- 角質への浸透性が高く、特に角質増殖型に効果的です。
- ラノコナゾール
- 幅広い抗真菌作用があり、1日1回の使用で十分な効果を発揮します。
- 炎症を抑える効果もあるため、かゆみの強い水虫にも適しています。
- ブテナフィン
- 強い殺菌効果を持ち、症状の進行を抑える作用があります。
- 抗炎症作用もあり、かゆみや赤みの緩和にも効果的です。
- ミコナゾール
- 初期の水虫や症状が軽度な場合に適しています。
- 幅広い真菌に有効で、皮膚感染症全般に対応可能です。
- クロトリマゾール
- カンジダや白癬菌などに効果のある抗真菌薬。
- 皮膚への刺激が少ないため、敏感肌にも使用できます。
- イソプロピルメチルフェノール
- 抗菌・消毒作用を持ち、二次感染を防ぐ目的で配合されます。
- グリチルレチン酸
- 甘草由来の成分で、抗炎症作用を持ち、赤みやかゆみを和らげます。
- ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 抗ヒスタミン作用により、かゆみを抑える効果が期待されます。
- ジブカイン、リドカイン
- 局所麻酔成分で、かゆみや痛みを緩和します。速効性が特徴です。
- クロタミトン
- 鎮痒(ちんよう)成分で、かゆみを直接抑える働きがあります。
薬剤師おすすめ!水虫に効く市販薬5選(成分・特徴付き)
【1】ブテナロックVαクリーム
- 有効成分:ブテナフィン、ジブカイン、クロルフェニラミンマレイン、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴:1日1回の塗布で効果持続。幅広い白癬菌に対応。かゆみにも効く。
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【2】ラミシールATクリーム
- 有効成分:テルビナフィン塩酸塩
- 特徴:殺真菌作用が高く、速効性あり。無臭。
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【3】ダマリンL液(大正製薬)
- 有効成分:ミコナゾール、クロタミトン、リドカイン
- 特徴:液体タイプで広範囲に塗りやすい。さらっとして速乾性が高い。
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【4】エクシブWディープ10
- 有効成分:テルビナフィン、リドカイン、ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、尿素 、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴:尿素も配合し、皮膚を柔らかくし深く浸透するW処方。患部にしっかり届く。
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【5】ピロエースZ
- 有効成分:ラノコナゾール、クロタミトン、イソプロピルメチルフェノール、グリチルレチン酸
- 特徴:真菌に対して広い効果。かゆみ止め成分配合。
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副作用や使用上の注意
- 刺激感・かゆみ・赤み:一時的に出ることがあります。使用を中止して医師へ相談。
- 目や口に入らないよう注意:万一入った場合はすぐに洗い流す
- 妊娠中・授乳中の方:医師・薬剤師に相談を
- 爪白癬は外用薬では効果が出にくい:内服薬や医療機関での治療が必要なケースあり
子ども・高齢者・妊婦の注意点
- 子ども(乳幼児)
- 乳幼児への使用が推奨されていない
- 病院での診察・処方が望ましい
- 高齢者
- 皮膚が乾燥・薄くなっていることが多く、刺激の少ない薬がおすすめ
- 皮膚が固くなっている場合は、尿素配合も検討
- 滑りにくい液体よりクリームタイプが安全
- 妊婦
- 基本的に医師に相談を
まとめ:水虫にはタイプと生活スタイルに合った薬を選ぼう
- 強いかゆみには抗ヒスタミンなど配合:ブテナロックVαクリームやピロエースZなど
- 広範囲に塗りやすい液体タイプ:ダマリンL液
- 深く届く角質型対策:エクシブWディープ10
水虫は正しく薬を選んで、毎日きちんと塗ることで確実に改善できます。生活環境の見直しと並行して、完治まで根気よくケアを続けましょう!
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、症状が長引く・悪化する場合は医師や薬剤師にご相談ください。