現代人の生活は、目を酷使する環境にあふれています。パソコン作業やスマートフォンの使用、コンタクトレンズの長時間装用、空調のきいたオフィス環境……。これらが重なることで、「目が乾く」「しょぼしょぼする」「ゴロゴロする」といった症状に悩む人が増えています。
これは単なる目の疲れではなく、医学的には「ドライアイ(乾性角結膜炎)」という疾患に分類されるものです。
本記事では、薬剤師監修のもと、以下の内容を詳しく解説します:
- ドライアイの原因と症状
- 市販薬(OTC)のおすすめ目薬と成分解説
- 症状に応じた目薬の選び方
- 眼科での治療方法
- よくある質問と回答(Q&A)
ドライアイとは?放置するとどうなるの?
ドライアイの主な原因
- 涙の量が減る(涙液減少型):加齢やホルモン変化、シェーグレン症候群など。
- 涙の質が悪化する(蒸発亢進型):まばたきの減少、油層の不足、VDT作業の影響など。
- コンタクトレンズ装用:角膜への酸素供給が減少し、涙の蒸発も促進される。
- 空調・環境要因:乾燥した空気、花粉やほこりなどの刺激。
ドライアイの主な症状
- 目の乾き・異物感
- ゴロゴロ・しょぼしょぼする感じ
- 光がまぶしく感じる(羞明)
- 涙が出すぎる(逆に乾燥しているサイン)
- かすみ目や視界のぼやけ
- 目の痛みや充血
放置するとどうなる?
ドライアイを放置すると、角膜や結膜に傷がつきやすくなり、視力の低下や慢性的な眼精疲労を招く可能性があります。また、日常生活における集中力や生産性の低下にもつながります。
市販薬(OTC)で治せる?ドライアイの程度と対処法
ドライアイは軽度〜中等度であれば市販の目薬(OTC医薬品)で対処可能です。以下のチェックポイントを参考にしてください。
- 軽度: 長時間作業後に目が乾く程度 → OTCで対応可能
- 中度: 頻繁に乾きを感じる → 高粘度・成分重視の目薬がおすすめ
- 重度: 視力低下・痛みがある → 眼科受診を推奨
ドライアイに効く主な成分解説(OTC)
成分名 | 主な作用 | 代表商品 |
---|---|---|
ヒプロメロース | 涙の蒸発防止・保湿力向上 | ロートドライエイドEX |
コンドロイチン硫酸Na | 角膜・結膜の保護 | 多数商品に含有 |
ヒアルロン酸Na | 保水力が高く、しっとり感持続 | ヒアレインS |
ドライアイ対策の視点から見ると、コンドロイチンとヒアルロン酸はどちらも「角膜の保護」や「涙液の安定化」に役立ちますが、作用メカニズムや得意分野が異なります。以下にそれぞれの違いを整理します。
項目 | コンドロイチン | ヒアルロン酸 |
---|---|---|
主な効果 | 角膜の保護・修復 | 保湿・涙の保持 |
保水力 | 中程度 | 非常に高い |
粘度 | 低〜中 | 高い(しっとり) |
主な役割 | 目の表面の保護 | 目の乾き対策 |
向いている症状 | 軽〜中等度のダメージ保護 | 強い乾き・重度ドライアイ |
おすすめの市販目薬ランキング(ドライアイ対応)
ロート製薬:ロート ドライエイドEX(防腐剤無添加)
- 成分:
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム(角膜保護成分) 0.5%
ヒドロキシエチルセルロース(HEC) 0.6%
塩化カリウム 0.02%
塩化ナトリウム 0.44% - 特徴:とろっとした薬液が涙の膜を作るように潤いをとどめ、涙の蒸発を抑えて目の乾きに優れた効果を発揮。防腐剤無添加。
参天製薬:サンテ メディカルガードEX
- 成分:
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(活性化ビタミンB2)0.05%
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 0.5%
タウリン 0.5%
ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩) 0.1%
Lーアスパラギン酸カリウム 0.5%
ネオスチグミンメチル硫酸塩 0.005%
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.03%
イプシロン-アミノカプロン酸 1.0%
グリチルリチン酸ニカリウム 0.25%
塩酸テトラヒドロゾリン 0.01% - 特徴:角膜の組織代謝を促進し修復を促すフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(活性型ビタミンB2)や、角膜にうるおいを与えて保護するコンドロイチン硫酸エステルナトリウムをはじめとする6つの成分を配合
参天製薬:ソフトサンティア(防腐剤無添加)
- 成分:
塩化カリウム 0.1%
塩化ナトリウム 0.4% - 特徴:涙液に近い性質を持った人工涙液で、涙液不足に伴う目のかわき・異物感などの不快な症状を改善。使い切りタイプで防腐剤フリー。
大正製薬:アイリスCL-I ネオ(防腐剤無添加)
- 成分:
タウリン 1.0%
塩化ナトリウム 0.56%
塩化カリウム 0.113% - 特徴:涙の成分である塩化ナトリウムと塩化カリウム、さらに目の新陳代謝を促進する栄養成分タウリンを配合。使い切りタイプで防腐剤フリー。
参天製薬:ヒアレインS
- 成分:
精製ヒアルロン酸ナトリウム 0.1% - 特徴:高い保水力をもつヒアルロン酸ナトリウムがうるおい不足を改善。使い切りタイプで防腐剤フリー。
Q&A:ドライアイ対策のよくある質問
Q1. ドライアイは市販薬で治る?
A. 軽度であれば市販薬で改善可能。ただし、症状が改善しない場合や痛みを伴う場合は眼科の受診が必要です。
Q2. コンタクトを装用中でも点眼できる?
A. コンタクト対応の目薬(記載あり)を選びましょう。非対応のものは装用前に点眼を済ませる必要があります。
Q3. 防腐剤フリーの目薬の方がいいの?
A. 毎日何度も使う方、アレルギー体質の方には防腐剤フリーがおすすめです。使い切りタイプで清潔に保てます。
Q4. 点眼のタイミングと頻度は?
A. 一般的には1日4〜6回が目安。ただし防腐剤入り目薬は使い過ぎに注意しましょう。
病院でのドライアイ治療とは?
ジクアホソルNa点眼液(ジクアス)
処方薬ではムチン分泌を促進するジクアスが主流です。市販薬の類似品より高濃度。
ヒアルロン酸点眼液(ヒアレイン)
高濃度のヒアルロン酸点眼液で、角膜の修復と涙液保持効果を狙います。
涙点プラグ(涙点閉鎖)
涙の排出口である涙点を塞ぐことで涙を長く留める外科処置。重症のドライアイに有効。
まとめ:ドライアイ対策は「継続」と「製品選び」がカギ
ドライアイは放っておくと深刻な視力低下を招く疾患です。市販の目薬は、成分や使用シーンに応じて選ぶことが重要。特に「防腐剤の有無」「成分(ヒアルロン酸・ジクアホソルなど)」「粘度の高さ」に注目して、自分に合った目薬を見つけましょう。
そして、症状が強い、改善しないという場合は、迷わず眼科を受診してください。