「毎月の生理痛がつらくて仕事に集中できない」「市販薬を飲んでいるけど、どれが自分に合っているかわからない」「胃が弱いから鎮痛薬が不安」——そんな声を多く聞きます。
生理痛(月経困難症)は、10代の思春期から30~40代の女性まで幅広くみられる一般的な不調ですが、痛みの強さ・症状の出方・原因は人それぞれ。原因を理解して薬を選び、生活面のケアも組み合わせることで痛みを大きく軽減できる場合があります。
このガイドでわかること
- 生理痛(原発性/続発性)の違い
- 痛みを起こすプロスタグランジンとは?
- 鎮痛成分(イブプロフェン・ロキソプロフェン・アセトアミノフェンなど)の特徴
- 市販薬おすすめリスト
- 漢方薬で体質から整える方法
- 温熱・サポートグッズの活用
- 妊娠中・授乳中・持病があるときの注意
- 病院受診のタイミング
生理痛とは?原発性と続発性の違い
**生理痛(月経困難症)**は大きく2種類に分類されます。
原発性月経困難症
器質的(病気)な原因がなく、ホルモン変動や子宮収縮の強さが関与して起こる痛み。思春期~20代前半に多い。年齢とともに軽減することも。
続発性月経困難症
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、骨盤内炎症など、病気が背景にある生理痛。痛みが年々強くなる、鎮痛薬が効きにくい、経血量が極端に増えた——こうした場合は婦人科受診が必須。
痛みのメカニズム:プロスタグランジンが鍵
生理時、剥がれ落ちる子宮内膜からプロスタグランジンという物質が放出されます。これは子宮を収縮させ、経血を押し出す重要な役割がある一方、分泌が多すぎると痛み・吐き気・下痢・血管収縮を引き起こします。
多くの鎮痛薬(NSAIDs)はこのプロスタグランジンの生成を抑える働きがあるため、生理痛緩和に有効です。
生理痛と併発しやすい症状チェック
以下、該当が多いほど薬や生活ケアが必要なサイン。
- 下腹部がズキズキ痛む
- 鈍い腰痛がつづく
- 足の付け根や背中まで痛みが放散
- 頭痛、吐き気、食欲低下
- イライラ・集中力低下
- 経血量が多くレバー状の血塊が出る
市販薬を選ぶときの基本フロー(初めての方へ)
- 痛みの強さは?(軽度~激痛)
- 胃が弱いか?(NSAIDsに注意・胃粘膜保護成分配合品を)
- 眠気NGか?カフェイン入りでもOKか?(仕事中・夜間で選択)
- 妊娠可能性は?(妊娠・授乳の可能性があるなら医師相談)
- 普段使って効いている薬は?(同じ成分か、別成分に切り替えるか)
生理痛に使われる代表的な鎮痛成分と特徴
成分名 | 分類 | 効果 | 胃への負担 | 生理痛への 相性 | コメント |
---|---|---|---|---|---|
イブプロフェン | NSAIDs | 炎症・ 痛み抑制 | 中等度 | ◎ | 速効・生理痛定番 |
ロキソプロフェン | NSAIDs | 強い鎮痛 | やや負担 | ◎◎ | 痛み強い時の上位選択肢 |
アセトアミノフェン | 鎮痛解熱 | 中枢性・ 穏やか | 少ない | 〇 | 胃弱・妊娠期相談時候補 |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 鎮痛補助 | 中枢抑制補強 | 少ない | △ | 他成分を補助(イブAなど) |
無水カフェイン | 中枢刺激 | 鎮痛補強・ 眠気軽減 | 少ない | 状況依存 | カフェイン感受性に注意 |
イブプロフェン
- プロスタグランジン産生抑制(COX阻害)
- 生理痛対応OTCの定番
- 効きが比較的速い
- 空腹時服用は胃刺激リスク
ロキソプロフェン
- 胃で吸収→体内で活性化
- 強い鎮痛作用
- 生理痛・術後痛などにも使用実績
- 胃対策しつつ使用
アセトアミノフェン
- 中枢性鎮痛、解熱
- 胃刺激少なめ
- 妊娠・授乳期は医師相談前提で選択肢になることも
アリルイソプロピルアセチル尿素
- 中枢性鎮痛補助作用
- 総合鎮痛薬でよく併用
無水カフェイン
- 中枢刺激で鎮痛補強
- 疲労感の軽減
- カフェイン感受性高い人は注意(睡眠妨げ)
服用タイミングのコツ
- 痛みが“来そう”と感じたら早めに服用した方が効きやすい(プロスタグランジンが増え切る前)。
- 強い痛みでも、再服用間隔(通常4~6時間)を守ること。
- 空腹時は胃を荒らす可能性があるため、食後または軽食後に。
薬剤師が厳選!生理痛向け市販鎮痛薬(タイプ別)
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定番の痛み止め(イブプロフェン)
イブA錠 / イブA錠EX / イブクイック頭痛薬DX(エスエス製薬)
- 成分
イブプロフェン:痛みのもとを抑える
アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛作用を高める鎮静成分
無水カフェイン:脳血管の拡張を抑え、鎮痛効果を助ける
酸化マグネシウム:胃粘膜を保護 - 痛みと炎症に速効性。頭痛・生理痛両方対応。
- 服用間隔に注意(通常4時間以上)
成分 | イブA錠 | イブA錠EX | イブクイック頭痛薬 | イブクイック頭痛薬DX |
イブプロフェン | 150mg | 200mg | 150mg | 200mg |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 60mg | 60mg | 60mg | 60mg |
無水カフェイン | 80mg | 80mg | 80mg | 80mg |
酸化マグネシウム | – | – | 100mg | 100mg |
エルペインコーワ
- 成分:イブプロフェン 150mg、ブチルスコポラミン 10mg
- 日本で唯一の生理痛専用薬
- ブチルスコポラミン臭化物が子宮・腸管の過度な収縮を抑える
鎮痛力重視・強めの痛みに(ロキソプロフェン系)
ロキソニンS / ロキソニンSプラス / ロキソニンSプレミアム / ロキソニンSプレミアムファイン(第一三共ヘルスケア)
- 成分
ロキソプロフェン:痛みのもとを抑える
酸化マグネシウム:胃粘膜を保護
アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛作用を高める鎮静成分
無水カフェイン:脳血管の拡張を抑え、鎮痛効果を助ける
シャクヤク乾燥エキス:過度な筋肉の収縮を抑制し、痛みをおさえるはたらきを助ける
ヘスペリジン:痛みをおさえるはたらきを助ける
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:胃粘膜を保護 - 即効+持続バランス良好。強い生理痛の定番。
- 胃が弱い人は食後服用を徹底。
- メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、酸化マグネシウムと同等の制酸効果を示すことに加え、胃内で胃粘膜表面を被覆し保護する効果も有するため、より胃にやさしい成分
- ロキソニンSプレミアムファインはつらい生理痛のメカニズムに着目した成分をダブル配合(シャクヤク乾燥エキス、ヘスペリジン)
成分 | ロキソニンS | ロキソニンSプラス | ロキソニンSプレミアム | ロキソニンSプレミアムファイン |
ロキソプロフェン | 60mg | 60mg | 60mg | 60mg |
酸化マグネシウム | – | 33.3mg | – | – |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | – | – | 60mg | – |
無水カフェイン | – | – | 50mg | – |
シャクヤク乾燥エキス | – | – | – | 36mg |
ヘスペリジン | – | – | – | 30mg |
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム | – | – | 100mg | 100mg |
ダブル処方(イブプロフェン+アセトアミノフェン)
バファリンルナi / バファリンプレミアム / バファリンプレミアムDX(ライオン)
- 成分
イブプロフェン:痛みのもとを抑える
アセトアミノフェン:痛みの伝達を抑える
アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛作用を高める鎮静成分
無水カフェイン:脳血管の拡張を抑え、鎮痛効果を助ける
乾燥水酸化アルミニウムゲル:胃粘膜を保護 - 痛みの中枢と末梢の両方からすばやく痛みをブロック。
成分 | バファリンルナi | バファリンプレミアム | バファリンプレミアムDX |
イブプロフェン | 130mg | 130mg | 160mg |
アセトアミノフェン | 130mg | 130mg | 160mg |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | – | 60mg | – |
無水カフェイン | 80mg | 80mg | 50mg |
乾燥水酸化アルミニウムゲル | 70mg | 70mg | 70mg |
吸収早い液体カプセル派
リングルアイビーα200(佐藤製薬)
- 成分:イブプロフェン 200mg(液状カプセル)
- 速効性重視。服用直後から効きを待ちたい人に。
漢方でアプローチする生理痛(体質タイプ別)
「冷え」「血の滞り(瘀血)」「ストレス性」の違いで処方が変わります。以下はドラッグストアで入手しやすい代表例。
漢方は体質適合が重要。2~4週間使って判断。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 生理不順、冷えや貧血傾向、むくみ
- 手足が冷えやすい方、貧血ぎみの方、疲れやすい方に
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害
- のぼせやすい方、顔はほてるけれど足は冷える方に
サプリ&栄養サポート(薬だけで足りないときに)
痛みを直接止めるものではありませんが、ホルモンバランスや血流、栄養不足を補う目的で併用されることがあります。
サプリ | 主成分 | 期待効果 |
---|---|---|
大豆イソフラボン / エクオール | 植物性エストロゲン様作用 | ホルモン変動対策 |
マグネシウム+B6 | 筋肉過緊張の緩和 | こむら返り、生理前の不調 |
鉄+葉酸 | 貧血傾向・疲れ | 経血多い人に |
オメガ3(DHA/EPA) | 炎症バランス調整 | 生活習慣サポート |
ビタミンE | 血行促進 | 末梢循環 |
エクオールなどの関連商品は下記を参考にしてください。

生理痛対策グッズ(温活・ケアアイテム)
薬と併用で体感が大きく変わることも多いので、使用するのもお勧めです。
温熱系
- めぐりズム 蒸気の温熱シート(お腹用)
- 貼るカイロ(腰貼りタイプ)
- 電気あんか / USBヒーター膝掛け
- 腹巻パンツ(綿混・遠赤繊維)
圧迫サポート・骨盤ベルト
- 生理期骨盤サポートインナー
- 骨盤ショーツ(就寝用)
アロマ&リラックス
- ラベンダー精油ロールオン
- カモミールティー(ノンカフェイン)
子ども(思春期)、妊娠中、持病がある場合の注意
思春期~10代
- 痛みが強い場合も多い。まず温め+生活指導。
- NSAIDs少量で改善する場合あり。年齢制限に対応した製品を選ぶ。
- 市販薬で改善せず、学校生活に支障 → 受診推奨(続発性の可能性)。
妊娠中(妊娠の可能性含む)
- 妊娠初期にNSAIDsをむやみに使用するのは避け、医師相談必須。
- アセトアミノフェンは相談下で使われることがあるが自己判断不可。
授乳中
- 成分により授乳タイミング調整が必要なことも。
- 医師・薬剤師に「授乳中」と必ず伝える。
持病(胃潰瘍・腎機能障害・出血傾向)
- NSAIDsは胃腸障害リスクあり。
- アセトアミノフェン系や医療機関での別対処を検討。
生理痛のときにおすすめの食事・栄養
- 温かいスープ(生姜入り)
- 鉄分:レバー・赤身肉・ひじき・大豆
- マグネシウム:ナッツ類・雑穀
- オメガ3:青魚、えごま油、亜麻仁油
- ノンカフェイン温ドリンク(ルイボス・カモミール)
避けたい:冷たい飲み物、砂糖過多、過度なカフェイン
病院に行った場合の治療(補足)
市販薬で十分に改善しない、痛みが耐えられない、経血量が急に増えた——そんなときは婦人科受診を。
ホルモン療法(低用量ピル / フリウェル系 / ジェノゲストなど)
- 排卵抑制で子宮内膜の増殖を抑え、痛み軽減。
- 生理周期調整にも。
漢方処方のカスタマイズ
- 体質・証に合わせ、保険診療でも提案される。
鎮痛薬処方強化
- 処方用ロキソプロフェンなど(医師判断)。
原因疾患治療
- 子宮内膜症、筋腫、腺筋症の場合は手術やホルモン治療も選択。
よくある質問(Q&A)
Q1. 生理痛の薬はいつ飲むのがベスト?
A. 痛みが始まる前~違和感を覚えた初期が最も効きやすいタイミングです。
Q2. 1回飲んでも効かない…重ね飲みOK?
A. 再服用は用量・間隔(通常4~6時間)厳守。効かない場合は成分を変えるか受診を。
Q3. ロキソニンとイブプロフェンを同日に飲んでもいい?
A. 基本は避ける。NSAIDs重複で副作用リスク増。
Q4. カフェイン入り鎮痛薬は夜飲んでもいい?
A. 眠れなくなる可能性。就寝前はカフェインレス処方を。
Q5. 鎮痛薬を毎周期飲むのは危険?
A. ルールを守れば多くの場合問題ないが、毎回激痛なら婦人科受診推奨。
Q6. 妊娠初期に生理痛だと思って薬を飲んだ!
A. 成分により対応が異なるため、早めに医師へ相談を。
Q7. 漢方と鎮痛薬は併用できる?
A. 多くは併用可。ただし甘草重複(偽アルドステロン症)など注意。
Q8. 痛みが日によって違うのはなぜ?
A. ホルモン変動、血行状態、睡眠不足、冷えなどが影響。
Q9. 市販薬と低用量ピルの併用は?
A. 多くは問題ないが、ピル服用中で痛み強ければ別の治療調整を医師に相談。
Q10. 経血量が急に増えた/レバー状の血塊が多い
A. 子宮筋腫などの続発性疾患の可能性。受診を。
まとめ:つらい生理痛は「早めの鎮痛+温め+体質ケア」で乗り切ろう
- 痛みが強くなる前に早めの服用が効きやすい。
- 成分を理解して「効き目」か「胃への配慮」か選ぶ。
- 体質改善には漢方・栄養サポート・温活が有効。
- 毎月寝込む/薬が効かない/経血異常があるなら迷わず婦人科へ。
「毎月のツラさを少しでも軽く」。あなたに合うセルフケアを見つけてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医薬品の使用については医師または薬剤師にご相談ください。