夏の暑さや湿気、汗の蒸れによって発症しやすい「あせも(汗疹)」。 特に首筋・脇・背中・ひじの内側・ひざの裏など、汗がたまりやすい部位にかゆみやブツブツが出てしまい、日常生活の快適さが損なわれます。
「かゆくて眠れない…」「子どもが掻きむしってしまう」など、大人から子どもまで幅広い年齢層が悩むあせも。 本記事では、薬剤師の視点から即効性・低刺激・成分に着目しながら、あせもにおすすめの市販薬を徹底解説。 また、あせもが悪化しないためのスキンケアのポイントも紹介していきます。
あせもとは?症状と種類
あせもは、医学的には「汗疹(かんしん)」と呼ばれ、何らかの原因で汗腺が詰まることで発症する皮膚炎です。汗疹の多くは、汗の分泌を抑え、患部の通気性を良好に保てば自然に治ります。
あせもの種類
- 紅色汗疹(赤いあせも):かゆみや痛みを伴う赤いブツブツ。最もよく見られるタイプ。
- 水晶様汗疹(白いあせも):透明な水疱ができるが、かゆみは少ない。乳幼児に多い。
- 深在性汗疹(皮膚の奥):皮膚の深い部分で起こる重度のあせも。
あせも対策に使われる主要成分一覧【効能・特徴・注意点付き】
あせも対策薬は、かゆみ・炎症・細菌の繁殖など、複数の要因に対応するため、さまざまな成分が使用されています。以下に、代表的な成分をピックアップして紹介します。
【抗炎症成分】
グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)
- 作用:抗炎症作用。炎症を鎮め、かゆみや赤みを和らげる。
- 特徴:甘草(カンゾウ)由来で低刺激。化粧品にも使用されており、敏感肌にも使いやすい。長期連用しても比較的安全。
アラントイン
- 作用:組織修復促進。皮膚の損傷を補修し、再生を助ける。
- 特徴:肌荒れや湿疹など広範囲の皮膚トラブルに使用される。低刺激で安全性が高く、アレルギー反応も起きにくいため、敏感肌の人にも向いています。
【抗ヒスタミン成分(かゆみ止め)】
ジフェンヒドラミン
- 作用:抗ヒスタミン作用。アレルギー性のかゆみを抑える。
- 特徴:かゆみが強いときに即効性あり。
- 注意点:眠気などの副作用が出ることがあるため広範囲使用は避ける。
クロタミトン
- 作用:かゆみの抑制。
- 特徴:穏やかな効き目
- 注意点:まれにヒリヒリ感がでる。
【殺菌・消毒成分】
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
- 作用:抗菌作用。汗で繁殖しやすい細菌を除去。
- 特徴:ニキビ薬やデオドラント製品にも使用される。低臭、低刺激で安全性が高いのが特徴。
- 注意点:目や粘膜への使用は避ける。
ベンゼトニウム塩化物
- 作用:広範囲の細菌に効果のある殺菌成分。
- 特徴:とびひなどの二次感染予防にも有効。
- 注意点:過敏症がある方は使用前にパッチテスト推奨。
【収れん・清涼成分】
酸化亜鉛
- 作用:収れん(毛穴を引き締める)+皮膚保護。
- 特徴:赤ちゃん用おむつかぶれ薬にも使用される。
- 注意点:粉タイプは吸い込みに注意。
メントール
- 作用:清涼感を与え、かゆみを一時的に緩和。
- 特徴:スースー感が気持ちよく、夏場の不快感軽減に。
- 注意点:敏感肌・乳幼児には刺激が強い場合がある。
薬剤師おすすめ!あせもに効く市販薬【成分・特徴解説付き】
ムヒベビー(池田模範堂)
- タイプ:軟膏タイプ
- 有効成分:ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴: かゆみ止めと抗炎症成分が入った、赤ちゃん向けのやさしい処方。スーッとする成分(メントールなど)やステロイド成分を配合していない。顔にも使える、弱酸性のクリーム。
液体ムヒベビー(池田模範堂)
- タイプ:液体タイプ
- 有効成分:ジフェンヒドラミン
- 特徴: 液体ならではの高い浸透力で、すばやくしっかりかゆみを止める。
- 注意点:使用開始目安年齢は、生後3カ月以上
ポリベビー(佐藤製薬)
- タイプ:軟膏
- 有効成分:酸化亜鉛、ジフェンヒドラミン、ビタミンA油
- 特徴: おむつかぶれ・あせも・湿疹に使える多用途軟膏。肌の修復効果もあり。
ムヒS(池田模範堂)
- タイプ:クリーム
- 有効成分:ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、メントール
- 特徴: 即効性のあるかゆみ止め。清涼感があり大人向き。
新レスタミンコーワ軟膏(興和)
- タイプ:軟膏
- 有効成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩
- 特徴: かゆみを素早く抑える抗ヒスタミン剤。やわらかく、のびやすい乳剤性軟膏で、広い患部にも塗り広げやすく、使用感がよい。
オイラックスソフト(第一三共ヘルスケア)
- タイプ:クリームタイプ
- 有効成分:クロタミトン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、アラントイン、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴: しっかりかゆみに効く。敏感な部位にも使いやすい。
ピジョン 薬用あせもシート
- タイプ:ふき取りシート
- 有効成分:グリチルリチン酸、アラントイン
- 特徴: 外出先や保育園などで簡単に汗を拭ける。肌に優しく、赤ちゃんや敏感肌にも。
成分から見る市販薬選びのコツ
- かゆみが強い場合:ジフェンヒドラミンやメントール配合製品
- 炎症が目立つ場合:グリチルリチン酸やアラントイン配合製品
- 汗の雑菌が気になる場合:イソプロピルメチルフェノールやベンゼトニウム塩化物入り製品
- 肌が敏感な場合:無香料・アルコールフリー、低刺激処方のもの
あせも対策に役立つ生活習慣の見直しポイント
市販薬によるケアに加えて、日常生活での対策も非常に重要です。以下のような工夫を取り入れることで、あせもの発症や悪化を予防できます。
- 通気性の良い衣類を着用する
綿素材や吸湿速乾性に優れたインナーを選びましょう。特に汗をかきやすい夏場や運動時は、こまめな着替えがポイント。 - こまめに汗をふき取る
汗をそのままにしておくと、皮膚が蒸れて炎症を引き起こします。タオルやウェットシートでこまめに拭き取る習慣を。 - シャワーや入浴で汗を洗い流す
外出後や運動後は速やかに洗い流しましょう。ゴシゴシ洗いすぎるとバリア機能を損なうので、やさしく洗うのが基本。 - 冷房や扇風機をうまく活用する
汗をかきにくい環境を整えることも大切です。特に就寝中は通気性の良い寝具やエアコンを活用して快適な温度を保ちましょう。
あせもが治らないときは病院へ行くべき?
市販薬を使用しても症状が改善しない、または悪化する場合は以下のような疾患が隠れている可能性があります
- とびひ(伝染性膿痂疹):水ぶくれが破れ、黄色いかさぶたができる感染症
- 接触性皮膚炎:使用している薬剤や衣類の摩擦によるアレルギー反応
- カンジダ性皮膚炎:湿気や汗によって真菌(カビ)が繁殖した状態
これらは自己判断では対応が難しく、皮膚科での診察と処方が必要になります。
まとめ|あせもは「予防+早めのケア」がカギ!
あせもは放置しておくと慢性化しやすく、かゆみや炎症による不快感が強まるため、早めの対処が肝心です。市販薬を上手に活用しながら、日々の汗対策や肌への負担軽減を心がけることで、清潔で快適な肌を維持できます。
- 軽度なら市販薬でセルフケア可能
- かゆみ・炎症が強い場合は早めに皮膚科へ
- 生活習慣の見直しで再発を予防
自分の肌に合った製品を見つけ、正しく使うことで、夏の肌トラブルとも上手に付き合っていけます。
本記事は一般的な情報に基づいて構成されています。症状が長引く、悪化する場合は速やかに皮膚科医にご相談ください。