「お腹がキリキリ痛い」
「急に差し込むように痛くなった」
「下痢や便秘もあってつらい」
腹痛はとてもよくある症状ですが、原因はひとつではありません。食べすぎや冷え、ストレスのように一時的なこともあれば、胃腸炎、便秘、胃酸の逆流、虫垂炎など受診が必要な病気が隠れていることもあります。激しいお腹の痛み、嘔吐が止まらない、血便、水分が取れず意識がはっきりしないといった場合は緊急性が高いサインになることもあります。
市販薬を選ぶときに大切なのは、「お腹が痛い」という言葉だけで決めないことです。
痛む場所、痛み方、下痢や便秘の有無、食後か空腹時かによって、向いている市販薬は変わります。
この記事では薬剤師の視点から、腹痛の原因、場所ごとの見分け方、市販薬の選び方、受診したほうがよい症状、よくあるQ&Aまでわかりやすく解説します。
※本記事は一般的な情報提供です。強い痛み・止まらない下痢などがある場合は医療機関への相談を検討してください。
結論:腹痛の市販薬は「場所」と「原因」で選ぶ
まず迷ったときの考え方を、先にまとめます。
・みぞおち付近が痛い・胸やけもある
→ 胃酸や胃の荒れを考え、胃酸を抑える薬や胃粘膜を守る薬を検討
・差し込むように痛い・けいれんする感じ
→ 胃腸のけいれんをしずめるタイプを検討
・下痢をともなう
→ 止瀉薬や整腸薬を検討。ただし発熱や血便があるときは自己判断を避ける
・便秘で張って痛い
→ 便秘薬や整腸薬を検討
・お腹全体が張る・ガスがたまる
→ 整腸薬や生活の見直しが中心
・右下腹部が強く痛い、動くと響く、熱がある
→ 市販薬で様子見せず受診を優先
腹痛は、同じ「痛い」でも背景が大きく違います。
間違った薬を選ぶと、効きにくいだけでなく、受診のタイミングを遅らせることもあるため注意が必要です。
腹痛はなぜ起こる?
腹痛の主な原因は、次のように分けられます。
胃や腸がけいれんしている
急な差し込みや、波があるような痛みでは、胃腸の筋肉がぎゅっと縮む「けいれん」が関わることがあります。
このような痛みには、ブチルスコポラミン臭化物のような胃腸鎮痛鎮痙成分を含む市販薬が使われます。ブスコパンA錠は、効能・効果として胃痛、腹痛、さしこみなどが示されています。
胃酸が多い、胃が荒れている
みぞおちの痛み、胸やけ、空腹時のしみるような痛みでは、胃酸や胃粘膜の荒れが関係することがあります。
この場合は、H2ブロッカー、制酸薬、胃粘膜保護薬などが候補になります。ガスター10 S錠は、3日間で改善しない場合は相談、2週間を超えて続けて服用しないご注意ください。
下痢をともなう
冷え、食べすぎ、ストレス、胃腸炎などで下痢が起こると、お腹がゴロゴロしたり痛みが出たりします。
ただし、発熱、血便、強い脱水、激しい腹痛がある場合は、市販薬で止める前に受診を考えましょう。便に血が混じる、嘔吐が止まらない、水分が取れないなどは緊急性の高い目安として扱われます。
便秘やガスだまり
便が出にくい、張る、重苦しい感じがあるときは、便秘や腸内環境の乱れが原因のことがあります。
この場合は、鎮痛目的の薬だけではなく、便秘薬や整腸薬を考えたほうが合うことがあります。
受診が必要な病気が隠れている
虫垂炎、腸閉塞、胆のうの病気、尿路結石、婦人科の病気など、腹痛の背景には市販薬だけでは対応しにくい病気もあります。
強い痛みが続く、どんどん悪くなる、発熱や嘔吐をともなう、血便があるなどのときは、早めの受診が大切です。
腹痛の場所で考える原因
みぞおちが痛い
みぞおちの痛みでは、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎などが考えられます。
胸やけや酸っぱいものが上がる感じがあるなら、胃酸が関係していることがあります。
→【薬剤師監修】胃痛に効く市販薬&セルフケア徹底ガイド

おへその周りが痛い
腸の動き、冷え、軽い胃腸炎、ガスだまりなどで起こることがあります。
下痢や吐き気があるときは感染性の胃腸炎も考えます。
→【薬剤師監修】つらい胃腸炎に効く市販薬まとめ

下腹部が痛い
便秘、下痢、過敏性腸症候群のほか、女性では生理や婦人科の病気が関係することもあります。
便が出ていない、張る感じが強いなら便秘も疑います。
→【薬剤師監修】つらい便秘に効くおすすめ市販薬10選

→【薬剤師監修】つらい下痢に効くおすすめ市販薬10選

右下腹部が痛い
右下腹部の強い痛みは、虫垂炎なども考える場所です。
歩くと響く、押して離すと痛い、熱がある、食欲がないときは、市販薬で様子を見るより受診を優先してください。
お腹全体が痛い
お腹全体が痛いときは、胃腸炎、ガスだまり、ストレス、冷えのほか、重い病気のこともあります。
痛みが急に強くなったり、吐いたり、便や吐物に血が混じるなら要注意です。
腹痛に使われる主な市販薬のタイプ
1.けいれんをしずめるタイプ
代表成分はブチルスコポラミン臭化物です。
ブスコパンA錠は、効能として胃痛、腹痛、さしこみ、胃酸過多、胸やけが記載されています。15歳未満は服用しないこと、服用後は乗り物や機械の運転を避けることなどの注意点があります。
2.胃酸を抑えるタイプ
代表成分はファモチジンです。
胃酸の出すぎによるみぞおちの痛みや胸やけに使われます。ガスター10 S錠では、3日で改善しないときは相談、2週間超の連用はしないことが示されています。
3.胃粘膜を守るタイプ・胃を整えるタイプ
スクラルファート、アズレン、健胃生薬、制酸成分などが入った胃腸薬です。
胃の荒れを守りたい人や、食べすぎ・飲みすぎで胃が重い人に使われることがあります。
4.下痢に使うタイプ
止瀉薬や整腸薬があります。
ただし、感染性の下痢が疑われるときや発熱・血便があるときは、自己判断で止める前に受診を考えましょう。
5.便秘に使うタイプ
便をやわらかくするもの、腸を刺激して出しやすくするもの、整腸薬などがあります。
便秘による腹痛では、ただ痛みを抑えるより、原因の便秘に合った対処を選ぶことが大切です。
腹痛のタイプ別 市販薬の選び方
差し込むような腹痛
まず考えたいのは、胃腸のけいれんです。
このタイプはブスコパンA錠のような鎮痙薬が候補です。ただし、繰り返す痛みや、強い痛み、発熱をともなうときは市販薬だけで済ませないようにしましょう。
みぞおちの痛み・胸やけ
胃酸が関わることがあるため、ガスター10のようなH2ブロッカーや、制酸・胃粘膜保護タイプの胃薬が候補です。
飲んでもすぐ繰り返す、黒い便が出る、食欲低下や体重減少がある場合は受診が必要です。
下痢をともなう腹痛
軽い下痢なら整腸薬や止瀉薬を検討します。
一方で、高熱、血便、激しい腹痛、脱水があるなら市販薬で止めずに受診を優先してください。
便秘で張って痛い
便秘薬や整腸薬を中心に考えます。
腹痛があるからといって鎮痙薬だけを使うと、原因の便秘がそのまま残ることがあります。便秘記事へ内部リンクして詳しく読んでもらう導線が有効です。
食べすぎ・飲みすぎのあとの重い痛み
健胃生薬、制酸成分、消化を助ける成分を含む胃腸薬が使われることがあります。
あなたの既存の胃痛記事でも、太田胃散や第一三共胃腸薬プラスのような「胃を整えるタイプ」を紹介しやすい構成になっています。
薬剤師の視点で選ぶ お腹が痛いときの市販薬レビュー
ここでは、効能・効果や成分の特徴をもとにした選び方のレビューとして紹介します。
体質や持病、飲み合わせによっては向かないこともあるため、購入前に添付文書を確認し、不安があれば薬剤師・登録販売者へ相談してください。
1.ブスコパンA錠
こんなときに検討しやすい
- 差し込むような腹痛
- けいれんっぽい痛み
- 一時的な胃腸の緊張
成分
- ブチルスコポラミン臭化物
レビュー
腹痛全体の記事で、まず押さえたい代表格です。
効能・効果として胃痛、腹痛、さしこみ、胃酸過多、胸やけが示されており、「キリキリ」「ぎゅっと痛む」タイプと相性がよい薬です。いっぽうで、すべての腹痛に合うわけではなく、発熱、持続する強い痛み、右下腹部痛には自己判断で使い続けないことが大切です。15歳未満は服用できず、服用後は運転を避ける必要があります。
2.ガスター10 S錠
こんなときに検討しやすい
- みぞおちの痛み
- 胸やけ
- 胃酸が多そうなとき
成分
- ファモチジン
レビュー
胃酸が原因と思われる腹痛では、有力な選択肢です。
胃のけいれん向けではないので、差し込む痛みだけで選ぶより、胸やけや空腹時痛があるかを見て選ぶと失敗しにくくなります。説明文書では、3日間で改善しない場合は相談、2週間を超えて続けて服用しないとされており、だらだら自己判断で続けないことが大切です。
3.スクラート胃腸薬
こんなときに検討しやすい
- 胃の荒れっぽい痛み
- みぞおちがしみる
- 胃炎傾向が気になる
主な特徴
- 胃粘膜保護
- 炎症をしずめる成分を含む処方
レビュー
胃酸を強く抑えるタイプではなく、胃の粘膜を守りたい人向けに考えやすい薬です。
刺激物や飲みすぎで胃が荒れた感じのときに候補にしやすい一方、強い胸やけ中心ならH2ブロッカーのほうが合うこともあります。既存の胃痛記事への内部リンク先としても使いやすい商品です。
4.太田胃散〈分包〉
こんなときに検討しやすい
- 食べすぎ、飲みすぎのあと
- 胃が重い
- なんとなく胃の調子が悪い
主な特徴
- 健胃生薬
- 制酸成分
- 消化を助ける成分
レビュー
食後の重苦しさや、胃の働きが落ちていそうなときに検討しやすい定番です。
ただし、鋭い痛みや強い腹痛そのものを狙うより、胃の不快感や食べすぎ後の調整向きと考えると選びやすいです。
5.正露丸
こんなときに検討しやすい
- 下痢をともなう腹痛
- 一時的なお腹の不調
レビュー
下痢寄りの腹痛で候補になりやすい薬です。
ただし、数日使っても良くならない場合は服用を中止して相談とされており、発熱や血便、強い脱水がある場合は自己判断を避けるべきです。下痢記事へつなぐ入口としてはとても使いやすい商品です。
商品比較表
| 商品名 | 主なタイプ | 向きやすい腹痛 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ブスコパンA錠 | 鎮痙薬 | 差し込む、けいれんっぽい痛み | 15歳未満不可、運転注意 |
| ガスター10 S錠 | H2ブロッカー | みぞおちの痛み、胸やけ | 3日で改善なければ相談、2週間超連用しない |
| スクラート胃腸薬 | 胃粘膜保護系 | 胃の荒れ、しみる感じ | 強い胸やけ中心なら別タイプも検討 |
| 太田胃散〈分包〉 | 健胃・制酸系 | 食べすぎ、飲みすぎ後の不快感 | 鋭い痛みの原因次第では不向きなことも |
| 正露丸 | 止瀉薬 | 下痢をともなう腹痛 | 数日で改善しない、血便や高熱なら受診 |
腹痛のときにやっておきたいセルフケア
消化にやさしいものを少量ずつ
おかゆ、うどん、スープなど、胃腸に負担の少ないものを少しずつ取りましょう。
脂っこいもの、香辛料、アルコールは悪化のきっかけになりやすいです。胃痛記事でも、刺激物や飲酒を避ける考え方が合います。
水分をこまめにとる
下痢や嘔吐があると脱水しやすくなります。
一度にたくさんではなく、少しずつこまめに飲むのが基本です。水分が取れないときは受診を考えてください。
お腹を冷やしすぎない
冷えがきっかけで腸が動きすぎることがあります。
冷たい飲み物を控え、無理のない範囲でお腹を温めるのもひとつです。
痛み止めを自己判断で足さない
ロキソニンなどのNSAIDsは、胃を荒らすことがあります。
胃痛時はNSAIDsを避けたほうがよいでしょう。
受診したほうがよいとき
次のような場合は、市販薬だけで様子を見すぎないでください。
すぐ受診・救急も考えたい症状
- 激しいお腹の痛みがある
- お腹を痛がって苦しそう
- 嘔吐が止まらない
- 便に血が混じる
- 下痢や嘔吐で水分が取れず、ぐったりしている
- 意識がはっきりしない
早めに受診したい症状
- 右下腹部の痛みが続く
- 発熱をともなう
- 黒い便が出る
- 何日も痛みが続く
- 市販薬を使っても改善しない
- 何度も繰り返す
- 体重減少や食欲低下がある
よくあるQ&A
Q1.お腹が痛いときは、とりあえずブスコパンを飲めばいいですか?
いいえ。
ブスコパンA錠は、胃腸のけいれんによるような痛みに向く一方、発熱、持続する強い痛み、原因不明の腹痛まで何でも合うわけではありません。差し込むような痛みには候補になりますが、迷うときは無理に自己判断しないでください。
Q2.腹痛にロキソニンは使えますか?
基本的には自己判断でおすすめしにくいです。
NSAIDsは胃粘膜を荒らすことがあり、みぞおちの痛みや胃の不調を悪化させることがあります。胃痛が関係しそうなときは特に注意が必要です。
Q3.下痢のときに止瀉薬を使っても大丈夫ですか?
軽い下痢では使うことがあります。
ただし、高熱、血便、強い腹痛、感染性が疑われるときは、まず受診を考えたほうが安全です。
Q4.便秘でお腹が痛いときは、痛み止めと便秘薬のどちらを選べばいいですか?
多くの場合は、原因の便秘に合った対処を考えるほうが大切です。
張りや便の出にくさがあるなら、便秘薬や整腸薬のほうが合うことがあります。
Q5.何日くらい市販薬で様子を見てもいいですか?
薬の種類によります。
たとえばガスター10 S錠は3日で改善しなければ相談、2週間超の連用はしないとされています。下痢止めでも、数日で良くならない場合は中止して相談が必要です。症状が強いときは、日数に関係なく早めに受診してください。
まとめ
お腹が痛いときの市販薬は、痛む場所、痛み方、下痢や便秘の有無で選ぶことが大切です。
- 差し込むような痛み → 鎮痙薬
- みぞおちの痛みや胸やけ → 胃酸を抑える薬、胃を守る薬
- 下痢をともなう → 止瀉薬や整腸薬
- 便秘で張る → 便秘薬や整腸薬
ただし、激しい痛み、血便、嘔吐が止まらない、水分が取れない、右下腹部の強い痛みがあるときは、市販薬で無理に様子を見ないで受診を優先しましょう。厚生労働省も、こうした症状を緊急性の高いサインとして案内しています。
