夏場やアウトドア、ガーデニングなどで悩まされる「虫刺され」。
かゆみ・赤み・腫れ・水ぶくれなど、見た目にも不快な症状が出るうえ、掻き壊してしまうと色素沈着や感染のリスクも。
「すぐに効く薬がほしい」「子どもにも使える優しい薬は?」
この記事では、薬剤師の視点から市販の虫刺され薬を徹底比較。症状のタイプ別におすすめ商品を紹介し、成分の違いや選び方のポイントもわかりやすく解説します。
虫刺されの種類と症状
虫刺されは、原因となる虫や体質によって症状が異なります。
一般的な症状
- 強いかゆみ
- 赤みや腫れ
- 熱感・痛み
- 水ぶくれ、じんましん
原因となる虫
- 蚊、ブヨ、ノミ、ダニ、ハチ、ムカデ など
蚊やダニによる軽いかゆみには抗ヒスタミン成分が有効ですが、ハチやムカデのような強い毒性を持つ虫にはステロイド薬や抗炎症薬が必要です。
虫よけに使われる市販薬の成分
- ステロイド(プレドニゾロン・ベタメタゾンなど):強い炎症を抑え、腫れやかゆみに即効性あり。
- 抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど):アレルギー性のかゆみを抑制。
- 局所麻酔成分(リドカイン、ジブカインなど):かゆみや痛みの神経伝達を遮断。
- 抗菌成分(フラジオマイシン、イソプロピルメチルフェノールなど):掻き壊しからの二次感染を予防。
- 消炎成分(グリチルレチン酸、カンフルなど):腫れや熱感を軽減。
薬剤師が選ぶ!虫刺されにおすすめの市販薬【成分・特徴付き】
ステロイド配合あり
炎症やかゆみがひどい方はステロイド配合の薬を選ぶことをお勧めします。
ステロイドの強さに関しても併記しておりますので、そちらも参考にしてください。
ムヒアルファEX(池田模範堂)
- 成分:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(ステロイド-普通)、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、クロタミトン、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴:ステロイド配合・即効性高い・抗菌成分入り
- 蚊、クラゲ、ダニなどによる強いかゆみや腫れに効果的。
- 使用開始目安年齢:生後6カ月以上(ホームページ掲載)
ムヒS2a(池田模範堂)
- 成分:デキサメタゾン酢酸エステル(ステロイド-弱い)、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴:ステロイドの中で弱いに分類されるデキサメタゾン酢酸エステル配合
- 子どもにも使いやすいマイルド処方。
- 使用開始目安年齢:生後6カ月以上(ホームページ掲載)
ウナコーワエースプレミアムG(興和)
- 成分:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(ステロイド-普通)、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、サリチル酸グリコール
- 特徴:抗炎症成分であるプレドニゾロン高濃度配合
- 蚊、ダニ、ブユ、ノミ、毛虫、ムカデ、クラゲにさされた時などの激しいかゆみや炎症に効果的
- 使用開始目安年齢:特に制限なし
ベトネベートN軟膏AS(第一三共ヘルスケア)
- 成分:ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド-強い)、フラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)
- 特徴:炎症+感染予防。掻き壊しに強い
- 掻き壊して出血・化膿した部位の治療にも対応。
- 使用開始目安年齢:特に制限なし
フルコートf(田辺三菱製薬)
- 成分:フルオシノロンアセトニド(ステロイド-強い)、フラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)
- 特徴:医療用ステロイドに近い強さ。外用処方薬並みの効果
- 重症例や繰り返す虫刺されに。
- 使用開始目安年齢:特に制限なし
ステロイド配合なし
新ウナコーワクール(興和)
- 成分:ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、リドカイン
- 特徴:スーッとした清涼感。かゆみと炎症を素早く抑える
- 清涼感重視の方におすすめ。広範囲にも塗りやすい。
- 使用開始目安年齢:特に制限なし
ムヒS(池田模範堂)
- 成分:ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、ℓ-メントール
- 特徴:かゆみ止めの中の王道
- 使用開始目安年齢:生後3カ月以上(ホームページ掲載)
ムヒベビー(池田模範堂)
- 成分:ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール
- 特徴:お子さま向け肌トラブルの常備薬(ムヒSと違いメントールが入っていので清涼感なく使用可能)
- 使用開始目安年齢:生後1カ月以上(ホームページ掲載)
ポリベビー(佐藤製薬)
- 成分:ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン)、酸化亜鉛
- 特徴:赤ちゃんから大人まで使用可能
- 使用開始目安年齢:特に制限なし
キンカン(株式会社金冠堂)
- 成分:アンモニア水、サリチル酸、トウガラシチンキ
- 特徴:昔ながらの定番。冷却・消炎・かゆみ止め
- 虫刺され直後の初期対応に。かゆみを和らげながら殺菌も。
- 使用開始目安年齢:特に制限なし
使用時の注意点
- ステロイド入りの薬は長期連用を避ける。
- 掻き壊した部分は清潔にしてから塗布。
- 目の周りや粘膜への使用は避ける。
- 子どもに使う場合は対象年齢を確認。
子どもへの使用について
- 子どもは皮膚が薄く敏感なため、ステロイドが入っていない製品や低濃度のステロイド外用薬(例:プレドニゾロンやデキサメタゾン)を選ぶと安心です。
- 「ムヒベビー」「キンカン」「ポリベビー」など、赤ちゃんから使用できる商品を活用しましょう。
- 塗布後、子どもが触った手を口に入れないよう注意しましょう。
妊婦・授乳中の使用について
- 妊娠中でも使える市販薬はありますが、強いステロイド(例:ベタメタゾン、フルオシノロンアセトニドなど)は避けましょう。
- 成分例としては「ジフェンヒドラミン」「クロルフェニラミン」などが含まれる抗ヒスタミン外用薬、「グリチルリチン酸」などの消炎成分配合の製品がおすすめ。
- 授乳中でも使用は可能ですが、胸部に薬を塗った場合は授乳前にはきちんとふき取るようにしてください。
- 念のため、使用前にかかりつけ医に相談するのが安心です。
高齢者の使用について
- 高齢者は皮膚のバリア機能が低下しているため、刺激の少ない成分(クロタミトン、グリチルレチン酸など)が含まれる薬が適しています。
- かゆみに対して抗ヒスタミン成分入りの軟膏は有効ですが、皮膚の乾燥がひどい場合は保湿も併用しましょう。
- 糖尿病や血流障害がある方は治りが遅れるため、感染を避けるためにも清潔を保つことが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 虫刺されに効く市販薬はどれくらいの期間使っていいの?
A. 一般的に3〜5日程度で症状が治まるのが目安です。長引く場合は、アレルギーや感染症の可能性もあるため皮膚科の受診を検討しましょう。
Q2. 子どもがかきむしってしまい傷になったけど市販薬を使っていい?
A. 軽度のひっかき傷であれば、殺菌成分配合(例:イソプロピルメチルフェノールなど)入りの薬を使用可能です。ただし、傷が深い・出血している場合は使用を避け、医師に相談を。
Q3. 虫刺されと湿疹の違いは?
A. 虫刺されは突然のかゆみと赤み、中央に刺し口があることが特徴。湿疹はかゆみがじわじわと広がり、繰り返し出現する傾向があります。判断が難しい場合は皮膚科での診察をおすすめします。
Q4. ステロイドが入っている市販薬は怖くない?
A. 正しく使えば非常に有効です。短期間、適量で使えば副作用の心配はほとんどありません。むしろかゆみを放置してかき壊す方が悪化につながります。
Q5. 冷やすのと薬、どちらが先?
A. かゆみや腫れが強い初期は冷やすことが先決です。その後、清潔にした上で薬を塗布してください。
まとめ:早めの対処と適切な薬選びがカギ
- かゆみが腫れがひどい場合はステロイド配合のものを。
- 搔きむしって化膿しているところは抗生剤配合のものが良い。
- 虫刺されの症状は放っておかず、かゆみが出たらすぐに薬を塗るのが大切。
- 成分と症状に合った市販薬を使えば、病院に行かずともかなり改善が期待できます。
- 子どもや敏感肌の方は弱めのステロイド配合、低刺激処方のものを選ぶと安心。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状がひどい場合や治らない場合は皮膚科にご相談ください。