頭痛薬にはさまざまな成分があり、それぞれ効果の強さや副作用の出やすさ、向いている頭痛のタイプが異なります。
この記事では、薬剤師の視点から主要な成分ごとの特徴や違いをわかりやすくまとめ、代表的な市販薬も合わせて紹介します。自分の頭痛タイプや体質に合った成分を選ぶことで、より効果的な対処が可能になります。
目次
頭痛の種類と症状、原因まとめ
1. 緊張型頭痛(筋緊張性頭痛)
- 症状:頭を締めつけられるような鈍い痛みが特徴。後頭部から首筋にかけて痛むことが多い。両側性。
- 原因:長時間のデスクワークやスマホ操作による首・肩のこり、精神的ストレス、睡眠不足。
- 対処法:ストレッチや温め、リラックス。市販薬ではアセトアミノフェンやイブプロフェンなどが有効。
2. 片頭痛(偏頭痛)
- 症状:ズキズキと脈打つような強い痛み。片側または両側に発生し、吐き気や光・音に対する過敏を伴う。
- 原因:脳の血管が拡張することによって神経が刺激されるため。ホルモンの変動、疲労、睡眠リズムの乱れ、空腹、特定の食品や香りが引き金に。
- 対処法:暗く静かな場所で休む。冷やす。カフェインを含む頭痛薬やトリプタン系処方薬。市販薬ではエテンザミドやアリルイソプロピルアセチル尿素配合の薬がやや効果的なことも。
3. 群発頭痛
- 症状:片側の目の奥がえぐられるように激しく痛む。涙や鼻水を伴い、毎日同じ時間帯に発生しやすい。1〜2ヶ月の間に集中して起きる。
- 原因:明確な原因は不明だが、体内時計の乱れや三叉神経の関与が示唆されている。男性に多い。
- 対処法:市販薬はほぼ効果がない。酸素吸入や処方薬による対応が必要。頭痛が強く、繰り返す場合は早めに神経内科などを受診。
上記を表でまとめると下記の様になります。
頭痛タイプ | 痛みの特徴 | 考えられる原因 | 市販薬での対応 |
---|---|---|---|
緊張型 | 頭全体が締め付けられるような鈍い痛み | ストレス、肩こり、姿勢の悪さ、目の疲れ | アセトアミノフェン、イブプロフェン |
片頭痛 | ズキズキとした拍動性の痛み、吐き気、光や音に敏感になる | 脳の血管拡張、ストレス、ホルモン変化、睡眠不足 | カフェイン配合薬、鎮痛薬 |
群発頭痛 | 目の奥をえぐられるような激痛、涙や鼻水が出る | はっきりとした原因不明。自律神経の乱れが関与 | 市販薬では不十分 |
二日酔い頭痛 | ズキズキとした脈打つ痛み、脱水や吐き気 | アルコールの代謝産物(アセトアルデヒド)、脱水 | アセトアミノフェン、イブプロフェンを使用してもOK |
頭痛薬の主な有効成分と特徴一覧
成分名 | 主な作用 | 向いている頭痛 | 主な副作用 | 含まれる代表的製品 |
アセトアミノフェン | 解熱鎮痛作用が穏やか、安全性が高い | 妊婦・授乳中の人、胃が弱い人、軽度の頭痛 | 少ない(まれに肝障害) | タイレノールA、ノーシンピュア、バファリンルナi |
イブプロフェン | 炎症・痛みを抑える力が強め | 緊張型頭痛、片頭痛、生理痛 | 胃腸障害、腎機能障害 | イブA錠、バファリンプレミアムDX |
ロキソプロフェン | 即効性があり、鎮痛効果が強い | 強めの頭痛、急な痛みにも対応 | 胃痛、腎機能障害 | ロキソニンS、ロキソニンSプレミアム |
エテンザミド | 解熱・鎮痛作用(アスピリン系)、他成分との併用で相乗効果 | 強い痛み(複合薬として使用) | 胃腸障害、アレルギー反応 | セデス・ハイ |
無水カフェイン | 血管収縮作用があり片頭痛に有効、眠気防止 | 片頭痛、倦怠感を伴う頭痛 | 不眠、動悸 | ロキソニンSプレミアム、セデス・ハイ、バファリンルナiなど |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 精神安定作用、鎮静作用 | ストレス性の頭痛、緊張型 | 眠気、だるさ | ロキソニンSプレミアム、セデス・ハイ |
代表的な頭痛薬製品(市販薬)一覧
イブA錠
- 成分:イブプロフェン
- 特徴:鎮痛効果とバランスの良さ、速効性あり
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イブクイック頭痛薬
- 成分:イブプロフェン+無水カフェイン+アリルイソプロピルアセチル尿素+酸化マグネシウム
- 特徴:イブプロフェンが速く溶けるよう設計
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タイレノールA
- 成分:アセトアミノフェン
- 特徴:安全性が高く、胃に優しい
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ロキソニンS
- 成分:ロキソプロフェン
- 特徴:鎮痛効果が強く、即効性が高い
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ロキソニンSプレミアム
- 成分:ロキソプロフェン+無水カフェイン+アリルイソプロピルアセチル尿素
- 特徴:効果が早く出やすく、しっかり効く
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バファリンプレミアムDX
- 成分:アセトアミノフェン+イブプロフェン+酸化マグネシウム
- 特徴:胃にやさしく、速効性も◎高い
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ナロンエースプレミアム
- 成分:イブプロフェン+エテンザミド
- 特徴:痛みの伝わりをブロックするエテンザミドを配合
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セデス・ハイ
- 成分:アセトアミノフェン+イソプロピルアンチピリン+無水カフェイン+アリルイソプロピルアセチル尿素
- 特徴:複合成分で強力に効く的、鎮静成分入り
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バファリンルナi
- 成分:アセトアミノフェン+イブプロフェン+無水カフェイン
- 特徴:穏やかに効きつつ、速さも兼ねる。女性向けの設計、胃に優しいものを求める方。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 頭痛薬はどれくらいの頻度で飲んでも大丈夫? → 週に10回以上服用すると「薬物乱用頭痛」になる可能性があります。1週間に2〜3回以内に抑えるのが理想です。
Q2. 飲んでも効かない時はどうすればいい? → 頭痛のタイプが違っているか、薬が合っていない可能性があります。症状が続く場合は医師に相談を。
Q3. 薬の飲み合わせに注意点はある? → 解熱鎮痛薬を複数同時に服用しないこと。また、カフェイン摂取が重ならないよう注意。
まとめ:成分を知れば頭痛薬の選び方がわかる!
頭痛薬は成分によって作用の仕方や副作用の出やすさが異なります。成分の特徴を知ることで、自分の体質や頭痛のタイプに最適な薬を選べるようになります。
- 妊娠中・胃が弱い → アセトアミノフェン系(タイレノールAなど)
- しっかり効かせたい → ロキソプロフェン(ロキソニンSなど)
- 片頭痛持ち → イブプロフェン+カフェイン(ナロンエースRなど)
- 穏やかに効いてほしい → アセトアミノフェン単剤(ノーシンピュア)
選び方に迷ったら、薬剤師に相談するのが安心です!
この記事は一般的な情報提供を目的としています。持病がある方や、頭痛が頻発する方は医師・薬剤師に相談してください。